我々の魂の中にある文藝を放棄してはならぬ

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はじめに by大江健一郎

最近、現代文学を読むことにはまっているのですが、その中でも特に衝撃を受けた作品があります。それは、川上未映子さんの「わたくし率、イン歯ー、または宇宙」です。

全てが素敵なので選べないですが、ところどころ好きな文章を抜粋すると

・丁寧、丁寧、と考えてると、尖った器具の先はおのずと丁の字になって、落下した丁が下にすっと刺さるのを思い浮かべる。

・さっきわたしの投げてしまった叫び、の形をした痛み、は、青木ではなくてこの女の中に入ってしまって、それから女の中で質を変えて鋭さを変えてもう一度きっちりとわたしの中にまっすぐに過不足もなくもどってきたことを知りました。痛みの循環はやはりこのようにして常にまわりもって守られてるその循環、おかえりおかえり、おかえりなさいよ、……

・〈まえにも書いたと思うけど・あんたがきてからこの治療室・なんだかどろっとした感じ・どろっとしていてどろって感じ・あんたおなかがでてるけど・妊娠してるんじゃないでしょうね・妊婦が来るとこういう感じになるからね・だけどあんたはここで働く人間なので・あんたはここに含まれているのですからね・すでに何かに含まれているもんが・何か含んだりするなんてこと・ここも誰も認めませんで……

 

このような感じで、とても個性的で魅力的な文章です。小説ってこんなに自由に書いていいものなんだ、と、今まで私の頭の中にこびりついていた「小説」という形式が粉々に打ち砕かれました。長くなってしまいそうなので、いずれ別の記事に詳しく書きたいと思います。みなさんもぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、実はここまでは前置きで、ここからが本題です。ここまで読んで気づいたでしょうか?文体が違う、と。

そう。私はこれまでの記事を書いてきた人とは別の人物です。簡単に自己紹介をします。

ペンネーム:大江健一郎

好きな作家:川上未映子森見登美彦綿矢りさ村上春樹など

よく書くジャンル:純文学、児童文学

 

日和見主義者の会がブログを開設したのはおよそ半年前のことですが、私は一度も記事を書いていませんでした。時間が無かった……というのはただの言い訳で、本当は長文を書くのがめんどくさかったのです。しかし、書いている今、思います。

え、ブログを書くってこんなに楽しいの…?

LINEなどすぐ消えてしまう短い文章でやりとりすることが多い今日この頃、自由に何かをかけるブログという場を私自身求めていたのかもしれません。

私は普段、文学賞に応募する用の小説を執筆しています。しかし、この場では、きちんと推敲を重ねて完成した小説に限らず、ショートショートや小説の冒頭だけなど、自由に書いていきたいと思います。

それでは、これからよろしくお願いします。

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