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京都市バスの方向幕のフォントを調べる byスカイ/そらまめ

 皆様、ご機嫌いかがでしょうか?そらまめです。

 タイトルから滲み出るセンスのなさです。

 

 ...そんなことは気にしないこととして、まず方向幕ってなんでしょうか?

雪の中を走る市バス

 上の写真を見てください。これは去年の大雪の日の写真で曇って見えにくいと思いますが、フロントガラスの上にある「四条大宮・千本今出川 203」などと書かれている部分が方向幕です。行き先が表示されており、「幕」の名の通り、細長い布に系統名がたくさん並んでいてそれを巻き取って表示を切り替えます。

 他の事業者では年々方向幕は廃止されて三色LEDに置き換えられていますが、京都市バスでは京都の碁盤の目状の通りの配置を生かした南北の通りに基づくラインカラーや系統番号の周りの色で循環系統・均一系統・調整系統(整理券車)を区別するなど、方向幕の「色」を最大限に活用し、遠くからでもすぐにわかるような仕組みになっていました。そのため、一部の車両を除いて三色LEDは導入されず、方向幕が多数残っていました。その工夫に関しては

https://www.mlit.go.jp/common/001221844.pdf

この資料をご覧になるとわかりやすいです。

 しかし、時代の流れとともに、フルカラーLEDが普及し、市バスでも方向幕が置き換えられてきました。くるくる回る方向幕の楽しさと視認性の追求したデザインをここに留めておきたいと思います。

 

 さて、本題に入ります。

上の画像*1を用いて解析していきます。

 まず、インターネット上の情報を収集します。株式会社イワタの導入事例から*22011年時点でUDフォントが導入されていることから、それ以降に刷新されている現行の方向幕にはUDフォントが使われているであるだろうと予想します。

 以前のデザインのものに関してではありますが、Yahoo知恵袋に回答を見つけました。*3現行デザインとは異なりますが、

という記述は大変参考になりました。ありがとうございます。

 以前のデザインではモリサワのフォントが多く使われており、漢字は新丸ゴが使われていたということから、今回は角ゴシックであるのでまずモリサワのUD新ゴを検討しました。とりあえず打って見ると確かに「北」のグリフが似ています。

 

 Vectornatorで文字をベクターにして変形してみました。変形するとぴったり一致します。和文モリサワのUD新ゴであることがわかりました。幸先の良いスタートです。

 調子に乗ってそのまま英文もUD新ゴでタイプしてみます。

 なんと、英文もUD新ゴでした!これはこれは。この調子で数字もサクサクっといけるかな?なんて。

...そう、この時はそう思っていたのです。あの時までは。

 

 これまではサクサク進んでいたので意気揚々と数字の解析へと進みます。

 解析のポイントです。

 ①「2」の上のカーブが曲がりすぎていない

 ②「2」の下の曲がり角が尖っていない

 ③「5」の上の部分が縦にほぼ垂直&その下が尖ってカーブ

 ④「5」の下のカーブが少し上がって少し尖っている&切妻

 これらの手がかりをもとに解析していきます。

 以前のデザインではモリサワのMOSuuji H A HAnが使われていたようなのでMOSuujiを全て照会していいきます。

MOSuujiの205たちの一部

 MOSuuji H のAからEまで照会しました。が、どれも違う....

 ここからが地獄の始まりです。ここまでで224個のフォントを調べました。(正確にはMOSuujiは一つのフォントファミリに数十個のスタイルがつくスタイル)

 ここから手持ちの2000個以上の全てのフォントと照会していきます。本当に一致するのか、不安になってきます。

 だんだん減ってくる残りのフォント。OfficeやWindowsからもフォントを持ってきます。Macにはもともと結構いいフォントが入ってるのがとってもありがたい。

 

 結局、手持ちの全てのフォント(モリサワのフォントは全て入っています)とAdobeFontのフォントを探しましたが、完全に一致するものは見つかりませんでした。

 一番近いフォントはメイリオでした。私がWindowsユーザならもっと早く気がついたのでしょうがあいにくMacユーザであったために、ほとんど最後まで気がつきませんでした。(英数→ひらがな→カタカナ→漢字の順に並んでいるため)不覚です。

薄いグレーがメイリオ 後ろが本物

 しかし、上の比較画像を見ていただくとわかると思うのですが、微妙に違います。数字は視認性を向上させるために、数も少ないですし、系統ごとに作っているのかもしれません。一応、ベースはメイリオなのかとは思われます。

 

 最後にすっきりしない終わり方にはなってしまいましたが、一応、京都市バスの方向幕のフォントの特定が終わりました。普段何気なく見ていると思う街に溢れる文字たちですが、よく見てみるとどれも違っていたり、同じだったり、とっても奥が深いです。ぜひ皆さんも、フォントにちょっとでも注目して過ごしてみると楽しくなるかもしれませんし、沼にハマるかもしれません。皆さんの良きフォントライフを!

 

追伸:方向幕の数字のフォントに関してはもう少し調べさせてください。もしかしたら、数字だけフォントを作るかもしれません。期待せずに続報を待っていてください。

 

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