我々の魂の中にある文藝を放棄してはならぬ

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あんこくまおう物語 第一話 by女生徒

 君はあんこくまおうを知っているかい?

 あんこくまおう。それはそれは怖い怖い王様。

はちみつの森に住んでいるって聞くよ。だけどね、みんな会ったことがないんだ。なぜかって?それは、王様だからさ!王様はね、普通の人には会えないほど、偉いんだって。

 僕は王様じゃないから、町のみんなでピクニックしたり、かけっこしたりするけれど、王様は誰とするのかなあ。みんな偉い偉いって言って王様と遊びに行かないから、きっと王様寂しいに違いないよ。僕、寂しいのは悲しいことだと思うんだ。だから、こんど王様のところに行ってみようと思うの。

 あんこくまおうさんの家は、はちみつの森の奥深くにあるんだ。僕、一人で行くのはすごく怖いけれど、そんなところに一人で住んでるのはもっと怖いだろうな。だから、美味しいお菓子とちょっと背伸びした紅茶を持ってお茶しに行くんだ。あんこくまおうさんってどんなだろう?あんこくまおうだもの、きっと大きくて、黒くて、すっごいんだ!

 でもね、ママは危険だから行かない方がいいって言うんだ。僕がお月様に行きたいって言った時は、素敵な夢だねって言ってくれたのに、隣の森に行くって言うと危険って言うんだよ。不思議なママだ。僕は行くよ。明日にでも行くさ。だってはちみつの森とあんこくまおうさんの事を考えると胸がどきどきして、わくわくして、止まらないんだもん!だから僕は明日、はちみつの森に行くんだ。

 それで今日は早く寝ないといけないんだ。おや、もうこんな時間。あんこくまおうさんはもう寝たかなあ。僕も眠くなってきちゃった。おやすみなさい。明日は冒険の日だね。

 

つづく

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